京屋の社内TOCセミナー

2017年3月5日

良いモノは、豊かな人間性を持った職人が作り出す。

半纏(法被)、浴衣、手拭、鯉口シャツ、股引などの祭衣装、和服のオーダーメイド、
伝統芸能の衣装オリジナル製作、修理を通じ、日本の祭りを支える染物屋でありたい…
京屋染物店の蜂谷悠介です。

京屋染物店では、会社で働いているみんなの人生がより良く豊かになるための学びの場を定期的に開いています。
染物を通じて、お客様の幸せを実現するためには、作り手側も幸せでなければならないと考えているからです。
今回は平日の2日間で、TOCセミナーを開催しました。
TOC理論(Theory Of Constraints:制約条件の理論)をみんなの思考プロセスの一助にしてもらうため、私と専務がTOCジュニアインストラクターとして初めて開催したセミナーです。
すごく楽しく学び合った2日間の様子をお伝えします。

意志の強さ、思考の柔軟さ、視野の広さ

染物屋の仕事と言っても、半纏や浴衣を作る時と手拭を作る時では、仕事の流れは異なります。さらに、お客様からのご要望を実現させるオーダーメイドだからこそ柔軟性、多様性が求められます。
京屋染物店でご注文を受ける日本の伝統衣装である半纏(法被)、浴衣や世界で一着のジャケット、ジーンズ、ワンピースなどは全てがオーダーメイドです。そのため、京屋染物店の業務の中に「いつも通りの仕事をいつも通りにこなせば良い」という仕事は絶対に存在しません。毎日新たなチャレンジが待っている会社なのです。
そのため、仕事の流れ(半纏、法被、浴衣、手拭、暖簾などの製造工程)や他の部署の様子(デザイン、染め、縫製などの状況)を意識することは、とても大切なことだと思います。でも、それは分かっているけど、日々努めている目の前の仕事をしていると、全体の流れを意識するのは2の次3の次になりがちですよね。ましてや、他の部署の様子まで気にかけるなど、そんな余裕は持てません。
ところが、TOC研修を全員で受けてからというもの、部署間の壁は無くなり、一人一人が日々「より良くあるため」の改善を行うようになりました。もちろん最初からうまくいったわけではありませんし、今も試行錯誤中ですが、明らかに変わったのは、部署を越えた協力体制が自然と出来上がり、全員で補い合える状態になっていることです。

1人の100歩より、100人の1歩

1人の100歩より、100人の1歩

業務全体の流れを意識し、他部署との連携を密にしながら、自分の仕事に取り組んだ方が良いと分かっているのに、なぜそれができないのか。
それは、目的の共有や真の協力による成功体験がないからだと思います。
「自ら考え行動する」のと「誰かの指示で行動する」のでは、結果が違いますよね。
自ら考え行動した結果、成功も失敗も自ら受け取ることが出来るのに対し、誰かの指示で行動してしまうと成功体験も失敗体験も他人事になってしまうことがあります。
お客様に喜んで頂きたい!」という想いは、他人事思考の中には生まれません。お客様からお仕事を預かる全員が自分事思考だからこそ、「お客様に喜んで頂くためには」どうしたらよいか、チームで取り組み始めるのです。
だから、京屋染物店では、「能力の高い人間が権限を持ち、会社を牽引するのではなく、全員の和で会社を底上げする」会社を目指しているのです。

学び合い、助け合う染物屋

チーム全員で会社を経営してみよう

京屋染物店では、森本繁生さんと出会いTOC研修を2年前から取り入れ、一人1回以上(5回以上の経験者もいます)は必ず経験しています。
それは、他人事思考ではいられない会社経営を業務フローへの意識とチームワークの観点も交えながら疑似体験できるからです。
では、どんな事をやるのか。

みんなで楽しくゲームをします(笑)

TOCのゲーム

こんな感じで、笑いながら
今回、京屋染物店で開催したTOCセミナーでやったのは、「サイコロとチップを使ったゲームとその解説」です。
このゲームは全員で会社を経営するボードゲームみたいなものです。
1卓6名が会社の仲間になり、各部署(工程1〜6)を任されます。企画担当、営業担当、製造担当、検品担当、出荷担当など。各部署や工程は、会社によって自由に想定できますよね。
工程1から6まで順番にチップ(材料、商品、受注案件など)を流して、お客様から頂いたご注文数量にお応えしていく。そして、最後に決算し、お客様に満足頂ける仕事ができたのか、会社は良くなったのかをチーム全員で検証します。(研修終了のときには全員が決算書の内容を理解できるようにもなります)

染物屋の楽しいゲーム

学び合う。助け合う。

私たちは、日本の誇りある文化を守り、お客様の笑顔を大切にするため、「日本の祭りを支える会社」になると決めました。
お客様のご要望に丁寧にお応えしていくために、健全な経営のできる良い会社にする必要があります。
そのためには、一人一人が自分で考え行動出来る判断基準や共通認識を持つことが大事です。
この研修では、講師は一切教えません。ゲームの中で、いろいろな会社の状況を想定しながら、みんなはどう考え、チームでどう行動するのかを実践して行きます。
チーム内で教え合い、学び合う。そして、自分が任されている目の前の仕事ばかりを見て一人で頑張っていてもお客様のためにならないことに気付くのです。

教え合う(染物屋)

私たちの仕事は総力によってしか成し得ることができません。接客だけが良くてもダメ。デザインだけが良くてもダメ。染めだけが良くてもダメ。縫製だけが良くてもダメ。
全ての工程が繋がっているし、全ての工程がお客様の笑顔のために欠かせない工程です。だからこそ、誰であろうと分け隔てなく助け合う。では、何のために助け合うのか。
それは、「お客様の幸せのため。自分たちの幸せのため。」そうするために、会社があり、仲間がいるのです。

教え合う染物屋

自分だけ先に進んでも誰のためにもならない。みんなで踏みしめる1歩のために学び合う。
今回は、私と専務が講師だったのですが、写真をご覧頂いても分かるとおり、誰が講師なのか分からないくらい教え合っていますよね(笑)

学び合う染物屋

2日間の研修の最後の〆は、私たちがフォーカス(集中)すべき業務を見つけ、改善するためにどう助け合ったら良いか話し合い、決めて行きます。
この段階になると、みんなで活発に意見が交わされ、普段の仕事を整理して考えられるようになります。
そして、会社全体でお客様のご要望にお応えしているのだという事を自然と理解し、「協力し合うほうが、みんな幸せになれるね」と心の底から感じることができます。
全体の業務フローが完成すると、今やるべきことが浮き彫りになり、全員で意思決定できるので、社長が経営方針の演説をするより、よっぽど早く改善が進むし効果も出ます。
だって、この場にいる全員が自分事思考なのですから。

チームで取り組む染物屋

京屋染物店で働いている仲間がより豊かで素敵な人生を過ごすために、人間性や価値観を磨くための環境を今後も作って行きたいと思っています。
日本の文化、祭りを支える職人集団は今日も切磋琢磨しています。

 

縁日(エンニチ)ネットショップ LOCAL WEAR IWATE