染まらないように洗う。
2017年8月3日
京屋染物店では染めた生地の「洗い」にもこだわりがあります。
特にシワになりやすい麻などの生地については、
機械ではなく手作業で洗うことで、丁寧に仕上げています。
今回は、染め作業のあとに行う「洗い」についてご紹介したいと思います。
徹底した温度管理
洗い作業は、染めたあとに生地の余分な染料を取るために行います。
その際に、洗った水の中で余分な染料が生地につき、
染める必要のない部分が染まらないように、温度管理は徹底する必要があります。
染料は高温になればなるほど、生地の隙間に入り込みやすくなります。
初めは、10分間、水でつけおき洗いをします。
最初のすすぎで余分な染料を大きく落とします。
次に、40℃のお湯に10分。
その後60℃のお湯にさらに10分。
徐々に温度を上げて、80℃のお湯に10分。
少しづつ温度をあげることで、生地の急激な温度変化による染料のにじみを防ぎます。
蒸し風呂のような洗い場
高温で洗うため、洗い場はまさにサウナ状態。
特にこの時期の夏場の作業は大変です。
お湯につけている間も、全体の染料を取るために
休まずに優しくかき混ぜ続けます。
熱湯のため素手ではかき混ぜられないため、木の棒で優しくかき混ぜます。
生地へのにじみなどがないか職人が確認します。
2着の半纏(半纏)を洗うために約1トンの水を使います。
この大量の水を賄うために、京屋染物店では井戸水を使っています。
水が豊富な場所でなければ、染物屋はできません。
磐井川にほど近い場所だからこそ、染めができるのかもしれません。
最後に90℃のお湯に専用の洗剤を入れて、10分。
合計約1時間かけて、麻の半纏(はんてん)生地が洗い上がりました。
その後は、乾燥作業に移ります。
乾燥機で軽く乾燥させた後、工場内に干して「洗い」作業は終了。
こうして丁寧に洗われた半纏(はんてん)は、
次の工程の「縫製」作業へと移っていきます。
文:櫻井 陽
一関地域を盛り上げる活動をしています。
京屋染物店に潜入取材し、『京屋染物店のありのまま』を皆さんにお伝えしていきます。