【針供養】お世話になった縫い針に感謝を込めて
2018年2月9日
2月8日の事始めの日。京屋染物店では針供養を行いました。
針供養とは
針供養とは、折れ、曲がり、錆びなどによって、使えなくなった縫い針を供養する行事です。人の生活の基本「衣食住」の「衣」をこしらえるのに欠かせない針を供養するためのもので、毎年12月8日の事納め、2月8日の事始めのどちらか一方の日に開催されるようです。その起源は不明ですが、9世紀頃に中国から伝わったされています。
その方法は不思議な事に、使えなくなってしまった縫い針を豆腐に刺し、その縫い針が沢山刺さった針を豆腐ごと土に埋めるというもの。その理由は、針は硬いものにしか刺さないので、長い間硬いものを刺して来た針を、最後は柔らかいものに刺してあげることで労うためだそうです。
お世話になった針に感謝を込めて
これまで京屋染物店では針供養を行う習慣はありませんでした、縫製スタッフの発案で今回が初めての針供養でした。発案した縫製スタッフも縫製学校を出て45年ぶりの針供養。それでも、これまでお世話になった大切な針を労う気持ちを忘れていけないという思いで、スタッフ総出で針供養を行いました。
宮司様から針を受け取り、スタッフが1針1針を豆腐に刺していきます。
これまでお世話になった沢山の針の数々。これを地に返すため、豆腐に刺したまま土に埋めます。
こうして埋めた針は、いつしか錆びて土に帰るとのこと。
針供養を行ったスタッフからは、
今日の針供養。
日本人に生まれて良かったと思う出来事でした。
『最後には柔らかいものを・・・』
なんて優しさに溢れているんだろう~
昔の人って素晴らしい!!
「針たちを最後は柔らかいもの(豆腐!)に刺す」、
「式が終わると、土に埋めてあげる」など。
初めて知ることばかりでドキドキしました。
これまで頑張ってくれた針たちに最後まで「刺す」という役割を全うさせることや、「45年ぶりに針供養に参加しました」と言うみよちゃんのずっしりとした言葉。
とても感慨深く、印象に残っています。
貴重で素晴らしい時間に参加できました。
日々のささやかなことに感謝する。忘れないようにしたいです。
という声が上がりました。
45年ぶりに針供養を行った縫製のスタッフは、「これまで使った針には感謝はしていたが、こうして供養することはできていなかった。45年ぶりに針供養を行うことができたことが嬉しい。」と話していました。
多忙な業務の中、こうした習慣はおろそかになることが多いですが、「針供養」の機会を通して、改めて「ものに感謝する」という当たり前を考えるきっかけになりました。
針さんありがとう。