en・nichi MITSUROU WRAPパッケージをつくる – その弐 –
2020年8月26日
デザインの三浦です。
前回よりお伝えしている、en・nichiの道具の一つ「MITSUROU WRAP」のパッケージ製作について、
今回は、その弐ということで、随所で光る職人の方々の技術をご紹介するところからお伝えします。
3 なくてはならない職人の技術
・色の確認は人の目で。
印刷されるパッケージの紙端には、不思議な模様が入っています。
これは、印刷された色の状態を表す「コード」で、機械で読み込むと、色が数値となって見ることができます。
どんな紙にも、実は「裏」と「表」があります。
一見するとわかりませんが、裏と表は、凸凹具合 (平滑性) が異なるため、
たとえ同じ数値だったとしても、印刷の色の出方が異なるのです。
その絶妙な色の状態を判断するのが、職人さんの「目」。
印刷と目視を繰り返して、色の微調整を行い、裏表の色味が限りなく近い仕上がりにしてくださいました。
この職人さんの後ろ姿がとてもカッコよかったです。
・紙置き10年の世界
見学中に、「三浦さん、見どころ!シャッターチャンスだよ!」と荒木社長からお声がけいただきいてみてみると、
職人さんが何十、何百枚もの紙の束をトントンと裏返して積んでいる姿が見えました。
表面の印刷後に、裏側への印刷作業に入る準備の段階です。
実は、この一瞬の間に、紙を裏返しにしながら紙と紙の間に空気を含ませて、ずれることなく積み重ねるという高度な技がなされていました。
印刷業界には、「紙置き十年」という言葉があるように、
この”印刷紙を裏側にして積み直す”作業が、次の印刷でスムーズに紙を流していくためにとても要となる作業なのだそうです。
高度なAI技術によって、どんどん機械化する昨今。
精密機械での印刷作業は、それだけで十分な仕上がりとなるように思えます。
しかし、その完璧な印刷技術を支えているのは、職人さんたちの手仕事による熟練した技と感覚で、作業の要所要所に、職人さんたちの細やかな工夫がきらりと光っていました。
4 パッケージの裁断
さて、最後の工程は、パッケージの裁断です。
・打ち抜きのための抜型
工場での印象的な光景はいくつかありますが、壁一面にずらりと並ぶ板の数々もまたとても迫力がありました。
厚みのあるベニヤ板に、刃とゴムの部品が打ち付けられたなんとも不思議な板ですが、これが、印刷した用紙に折り線をつけたり、打ち抜きをするための「型」。
機械にセットして使用されます。
こちらが今回弊社が依頼したパッケージの抜型です。
裏側を返すとまさに弊社のパッケージ図案が!
この抜型には右端に抜型を製作するまでに設計〜製作までを担当した方々の
捺印がずらりと並んでいます。
1枚の抜型を製作するまでに、こんなにたくさんの人の手が入っているのだと
とても感慨深い瞬間でした。
こちらが完成したパッケージです。
5 ものづくりへ向き合う姿勢
パッケージが出来上がるまでの製作工程を見学して感じたことは、
一つ一つのものづくりが、たくさんの人の力でつくりあげられているということです。
お客さまとのやりとりから、商品がお手元に届くまでの間には、
本当にたくさんの人の技術と時間、知識が込められていて、
それは、決して自社だけではなく、協力してくださる周りの方々も全てが繋がって、一つのものが完成していきます。
ああでもないこうでもないと、たくさんの人が試行錯誤してできるその一つの商品が、誰かの生活をより豊かにできると思うと、
どんなに小さなことも愛おしく大切なものに思えてきます。
今回も、たくさんの人の想いが詰まった「MITSUROU WRAP」。
ぜひたくさんの方々のもとへお届けして、生活をより豊かに楽しく彩る道具の一つとして使っていただけたらと思います。
今回一緒に作ってくださった方々です!
SMASHの荒木社長、クリエイティブディレクターの稲葉様、営業の本間様、
本当にありがとうございました!
全2回でお送りした MITSUROU WRAP のパッケージをつくる 。
今後も、ものづくりの裏側をお伝えできる機会をつくってまいります。
ご拝読いただきましたみなさま、ありがとうございました!