暖簾(のれん)の色による違い
2017年9月1日
酒屋、菓子屋、呉服屋、薬屋…
それぞれのお店の顔とされる「暖簾(のれん)」。
その暖簾(のれん)の色にも様々な意味が込められています。
今回はその「暖簾(のれん)の色」についてご紹介します。
いつ頃から暖簾(のれん)が架けられるようになったのか
暖簾(のれん)は平安時代にはあったと言われています。
当時は、庶民が日よけや風よけを目的に家にかけており、無地の暖簾(のれん)がほとんどでした。
室町時代になると、商業者が自分の屋号や業種を宣伝するものとして、暖簾(のれん)を使うようになり、「家紋」のようなマークが主流になりました。
江戸時代になり、庶民の学問レベルも上がり、文字の認識ができるようになると、文字を入れた暖簾(のれん)が多くなり、商業者の主たる宣伝媒体になりました。この頃から職業によって、色も特徴あるものになっていったようです。
藍色の暖簾(のれん)
藍色の暖簾(のれん)は、呉服屋や酒屋、そば屋などに使われることが多いそうです。
藍色は、植物の藍(あい)を使った「藍染め」で出します。
藍(あい)には殺虫剤にも使われているピレスロイドという成分が含まれており、古くから虫除け効果があると言われていました。
そのため、藍色の暖簾(のれん)は、虫が寄り付かないという意味合いを持つことから、呉服屋やそば屋などで使われるようになったのです。
茶色の暖簾(のれん)
茶色の暖簾(のれん)は、タバコ屋とお茶屋で使われていたそうです。
タバコが普及し始めたのは江戸時代で、当時は「刻みタバコ」で、葉の色が茶色だったことから、茶色の暖簾(のれん)が使われていました。
お茶屋は、「緑茶」や「抹茶」など、緑色のイメージが強いと思いますが、江戸の庶民は茶色い「番茶」を飲んでいたため、茶色の暖簾(のれん)が使われていたようです。
白の暖簾(のれん)
白の暖簾(のれん)は菓子屋や、薬屋で使用されていたそうです。
菓子屋で良く使うのが「砂糖」。その砂糖が白いことから、白のイメージの暖簾(のれん)を使っていたようです。また、薬屋も江戸時代には砂糖を薬として使っていたそうで、そのイメージの白の暖簾(のれん)を使っていたようです。
紫の暖簾(のれん)
「紫色」は、昔、高貴な方のみが身につけることが許されていたリッチな色でした。ところが、江戸時代になると、金融機関からお金を借りた者がそのお金を返し終えるまで、紫色の暖簾(のれん)をかけなければならないという暗黙のルールがあったようです。
暖簾(のれん)の文字色について
暖簾(のれん)の文字色には、赤は使わないのが一般的です。それは、赤い字が商売の「赤字」を指すことから避けられているためです。そのため、その反対の「黒字」を表す黒い文字を暖簾(のれん)に表記するのが良いとされています。
店の看板となる「暖簾(のれん)」の色にも様々な意味合いがあります。
現代では、お店のブランドデザインに合わせた色をオーダーメイドされる方がほとんどですが、昔の職業別の色についても考えてみるのも面白いかもしれませんよ。